「私たち、VERYに影響されすぎていたかも」
お客様と話していたとき、ふと出てきた印象的な言葉です。
「私たち、VERYに影響されすぎていたのかも・・・」
最初におことわりしておきますと、私自身は今もVERYを購読しているし、センスの良いスタイリングには毎月毎月感嘆させられるし、読み物の執筆陣も際立ちすぎて最高(武田砂鉄さんがおしゃれな女性誌に連載するなんて、当時誰が予想したでしょう!)!と思っている大好きな雑誌です。
VERYの主な読者層は、アラサーから40歳くらいまでの子供を持つ女性。私が現在41歳なので、対象年齢としてはギリギリではありますが、それでも、トレンドを追うには欠かせない雑誌として読み続けています。
思えば、20年くらい前までは、この層にぴったりくるファッションってなかったんですよね。
いわゆる赤文字系で愛されファッションの20代を過ごした人も、青文字系(なんて言葉は当時なかったけれども)やらモード系でとんがった服を身にまとっていた人も、乳幼児を育てる30代で何を着れば良いのか、いきなり指針がなくなる状態でした。
ファッションだけでなく、社会的にも、幼い子供を持つ女性が中心的なトピックとして取り扱われることはあまりなかったように思います。
ところが、少子化が止まらない中、待機児童の問題や、子育ての困難さ、女性のキャリア問題などがにわかにフォーカスされるようになってきました。SNSが普及したことにより、ママたちが子育てのつらさや喜びを気軽に発信できるようになったことも相まって、30代ママという存在が、社会的にも注目を集めるように。
そんな時代に、ぴったりと寄り添ったのがVERY。小島慶子さんのエッジィなコラムに、桐野夏生さんのママ友カースト小説なんていうドキドキするような連載で、社会派のイメージを確固たるものにしつつも、お洋服のスタイリングは思いっきりカジュアル!
保守的なイメージのあった光文社系雑誌の印象を覆す、鮮やかなスタイリングにしびれました。
コンサバも押さえつつ、ちょっとモードっぽさも取り入れ、そして子育てにも実用的なカジュアルファッションは、まさに、おしゃれでいたいし人と差別化も図りたいし良いママでもありたいという30代ママの心に直球で響きました。感度の高いママさんたちの中では、
カジュアル上手であらずんば、おしゃれママにあらず。
というような雰囲気が醸成されてきた気がします。
これまでママ雑誌では扱われることのなかったカジュアルアイテムがVERY誌面にあふれ、ニューバランス996やアディダスのスタンスミス、ザノースフェイスのアウターなど、取り入れやすいアイテムが30代ママたちの定番になっていったのは、VERYの偉大な功績の一つだと思っています。カジュアルアイテムの名品をなにかしらうまく取り入れると、コーデ全体がぐっと垢抜けてヘルシーに見えるんですよね。
そんなわけで、おしゃれママと言えばカジュアルファッション。の流れが定着した一方で、カジュアルファッションで固めた自分の姿を見て、「何か違う・・・?」と感じたママさんたちも少なからずいたのではないでしょうか。実は私もそのひとりでした。
長くなったので、続きは次のブログに書きますね。